牛乳の中にいる蝿 その白黒はわからない
どんな人かは 着ているものでもわからない
天気が良いか悪いかわからない
林檎の木を見てもどんな林檎だかわからない
樹脂を見ても木がわからない
皆がみな同じでも わからない
働き者か怠け者かもわからない
何だってわからない
襟を見ても 胴衣の値打ちがわからない
法衣を見ても 修道僧の位がわからない
従者を見ても 主人がわからない
頭を覆っているものをみても どこの修道女かわからない
誰かが隠語を話してもわからない
道化を見ても 好物をどれほどもらっているかわからない
樽を見ても どんな葡萄酒かがわからない
何だってわからない
馬と騾馬の違いもわからない
馬の荷か騾馬の荷か それもわからない
ビエトリスであろうとベレであろうと 知ってる女はわからない
どんな数でも計算用の珠を使って計算する仕方もわからない
起きているか眠っているかもわからない
ボヘミヤの異端
フス派の過ちもわからない、
ローマ法王の権威もわからない
何だってわからない
血色のよい顔と青白い顔の区別もわからない
すべてに終末をもたらす死もわからない
何だってわからない
自分のこと以外なら
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